Danaフォトレビュー

2002/10/29

 米国在住の友人A.Tomita氏にDanaを送ってもらいましたので、さっそく簡単なレビューをしてみました。一部の写真はA.Tomita氏撮影のものです。

 まずDanaの製品コンセプトですが「持ち運びができるワープロ」であり、メインのターゲットは学校です。Danaの兄弟マシンとしてAlphaSmart3000という機械がありますが、これは専用のOSを利用したワープロでメモリーも256KByteしかなく、入力した文章はPC/Macに吸い上げて保存するようになっています。アプリケーションも専用のもの(テスト、アウトラインプロセッサー等)がいくつかある程度です。したがって、Danaはあくまでもバッテリーが長時間持ち、フルキーボードを備えたワープロであり、それ以外にもPalm OSのアプリケーションが使えるマシンと捕らえるのが正しでしょう。
 Danaには教室などで多数の子供達が使うことを想定しており教師がそれを管理するための機能が備えられています。多数のDanaを格納するための装置もオプションで用意されています。
 Danaは従来のPalm OS搭載機とも、小さなキーボードを供えたSigmarionやPsionなどのハンドヘルドデバイスとも大きく異なったコンセプトを持っている非常にユニークなデバイスということができます。


全体像です、キーボードはフルサイズでストロークもほどほどにあり、薄型のノートPCよりははるかに快適です。画面の両脇にはスタイラス立てがあります。

写真からは分かりにくいのですが、最前部は本当に薄いです。おそらくキーボードしか入っていないのでしょう。m505よりも薄いというのは驚きですね。
 後ろに行くにしたがって厚くなり、画面が傾斜して見やすいようになっています。

拡張ポートなどはすべて背面に配置されています。左から赤外線ポート、USB(プリンター、モデム接続用)、電源、USB(PC接続用)、SDスロット*2となっています。用途に応じたUSBポートが2つありますが、間違えないように異なったコネクターが利用されています。
 また、SDスロットに上にはねじ穴があります。おそらくカードが抜かれないような器具を取り付けることができるのでしょう。(学校用ならではですね)

側面から見た写真です。このでっぱりはなんだろう?としばらく分からなかったのですが、

スタイラスでした。気が付いてみるとあたりまえですね。
(私はしばらくスタイラスをさがしまわってしまいました。)
スタイラスはプラスチックの一体型です。分解はできません。

リセットの穴は背面の中央にあります。スタイラスでそのまま押すことができるのは便利ですね。

キーボードの右上にはPalm用のキーが用意されています。これらにより、さまざまなアプリケーションを起動したり、コントラスト調整画面を呼び出したり、HotSyncを開始したり、画面上のNew,Doneといったボタンを押すことができます。なお、キートップに黄色でかかれている機能はFunctionボタンとともに押すことで利用できます。

カーソル移動キーです。ワープロには必須ですね。Functionキーとともに上下キーを押すことで、Palmの上下ボタンと同様の操作ができます。

 通常のアプリを使う際は2つのキー(Function+上下キー)を押さなくてはならないので多少不便です。

 Function+左右キーを押すと,画面上の"Show","Detail"ボタンを押すことができます。Function+ReturnでOkボタンを押すことができます。

J-OSも一応動きました。画面表示はまったく問題ありません。

入力は多少問題があります。まずインライン入力モードはカーソルの表示位置が乱れますし、ワイド画面対応アプリケーションでは画面が崩れます。
 実質的にはWindow入力モードのみが利用可能です。

 ATOKが使えないか試してみたいと思います。

AlphaWordがDanaの主役です。これはWordSmithというワープロソフトを改造したもので、ワイド画面に対応しており、文字をPC/Macに簡単に送ることができたり(なんと、Mac/PCからはUSBキーボードとして認識されるのです。そのため、どのようなワープロ、テキストエディターにもテキストを簡単に送り込むことができます。)、
 もちろんHotSyncによりファイルをPCに取り込むことも可能です。ただし、日本語は一切使えませんでした。

Screenというアプリケーションが用意されており、これで画面の方向を3種類変えることができます。

横向きにした画面の例です。ワイド画面未対応アプリケーションではこのように表示部分とGraffitiエリアが大きくはなれて表示されるため、使いやすいとはいえません。
 これはアプリケーション開発者はワイド画面対応に容易に対応できるようにこうなっているのではないかと思います。

 本体付属のHome画面はさまざまなキー操作には対応していますが、ワイド画面には未対応です。

ゲームをやってみました。

4つの内蔵PIMアプリケーションはワイド画面に対応しています。たくさん表示されるのは良いのですが,スクロールバーやカテゴリー選択のポップアップが画面右端はるか遠くに配置されているのはペン操作には不向きです。あくまでもキーボードで操作することが前提のようです。
 この画面ではJ-OSのWindowsモードで日本語を入力しています。

フォント選択画面は従来のものからFontBucketが提供するものに変わっています。
 FontBucketとは拡張フォントを管理するためのアプリケーションで、新しいフォントをインストールすると、この画面にも新しいフォントが表示されるはずです。

FontBucketを起動してみました。フォントのサイズとスタイル(Bold,Italicなど)とサンプルが表示されます。インストールされたフォントを削除することもできます。

Keyboardというアプリケーションがあり、キーボードに関するさまざまな設定が可能になっています。

 4種類のレイアウトが用意されています。QWERTY,DVORAKは標準的なものですが、右手用、左手用といったものも用意されています。

これは左手用のものです。左のほうにアルファベットが配置されています。

電源オフ時に、どのキーを押すと電源が入るかを指定することができます。誤って電源が入るのを防ぐためでしょう。また、PDAではありませんので、一刻を争って電源を入れる必要もありませんね。
 なお、電源ON/OFFボタンはキーボード左上にあります。

スペシャルニーズ用の設定画面です。
StickKeyでは、複数のキーを同時に押せない人のために、Shift,FunctionキーがSticky動作をします。(一旦押すとモードに入り、再度押すとモードが取れる。このため複数キーの同時押しをひとつづつ行うことができます)

 SlowKeyは間違えてキーを押してしまう人のためのもので、キーをしばらく押していると初めて入力がされます。その待ち時間も設定できます。

ワイド画面に対応していないアプリケーションは縦に設定されているとこのように表示されます。画面中央にアプリケーション画面が表示され、右側にGraffitiエリアがあります。左側は単なる飾りです。

Graffitiエリアを拡大してみました。Grafffitiエリアのアルファベット部分と数字部分を区切る線の上下に2つの機能が割り当ててあります。
 上にある下矢印はGraffitiエリアおよびDanaロゴを隠すためのものです.下にある左右の矢印はGraffitiエリアとDanaロゴの位置を反転するためのものです。
 表示領域はいくらでもありますから、バッテリー残量、時計などの表示して欲しかったですね。

左右を交換するとこうなります。

下矢印で隠すとこうなります。見えにくいですが、画面左下に上矢印が表示されます。これを押すと再度Graffitiエリアが現れます。

DefaultColorを実行してみました。画面はモノクロと4階調しかサポートしていないようです。そのため16階調を必要とするゲームでは正常に動作しないものがありました。

その他ちょっとしたことですが、通常だと”Handheld"と表示されるところが"Dana”になっています。

 私が購入前に一番注目していたのは、「キーボードだけでどれだけスムースな操作が可能になっているのだろうか」ということです。場合によってはPiloKeyやPowerJOGの対応も必要かもしれないと思っていますが、これはまったくの杞憂でした。ほとんどあらゆる操作がキーボードからスムースに可能になっていました。

 キーボードから可能な操作は以下のようなものです。

 ・アプリケーションの起動:キーボードのAppsボタンでHome画面に戻ることができます。Homeアプリケーションはキー操作に完全に対応しており、矢印キーによりアプリケーションを選択して、実行することができます。
 ・メニュー操作:メニューボタンを押し、上下左右矢印キーで選択、Returnで実行、ESCでメニューを隠す
 ・画面のボタンを押す:OK,Done,New,Detail,Showなど頻繁に使われるボタンは専用のキーが割り当てられています。
 ・画面の任意のボタンを押す:Function+Tabを押すと画面上のボタンが順にハイライト表示されます。そのままReturnキーを押すとそのボタンを押すことができます。画面上のポップアップリストを選択することもできます。さらに画面内のリストを選択することもできます。これはPowerJOGでもジョグアシストでもできていません。
 ・PIMでの情報選択:4つのPIMはキー操作に対応しており,キーボードから情報の選択、表示、ToDoにおけるチェックなどが可能です。
 ・画面をスクロールさせる:Function+上下キーで画面のスクロールが可能です。

 細かいところで見ると、コントラスト設定画面では上下左右キーで設定ができず、Function+上下キーを押す必要があるなどの分かりにくさはあるものの、ペン操作を前提としたPalmOSをここまでキーボード用マシンに仕上げたのは見事だと思います。HandEra330でのノウハウがふんだんに詰まったマシンだといえるでしょう。

 横向きの画面ですが、通常はあまり使い勝手が良くないと思われます。ただ実際に左手で抱えて右手でペン操作をしてみると、意外といい操作感です。この縦長画面を前提としたアプリケーション(たとえばインクワープロ等)があれば、意外と使えるのではないかという感触を得ました。まさに巻物的な画面ですね。