(超不定期コラム第一回)Flash ROM 800Kbyteの使い方


 残念ながらWorkPad日本語版をお使いの方には関係ない話なのですが、PalmIII/IIIx/V英語版には元々2MByteのFlash ROMが搭載されており、うち約800KByteが未使用の状態で残っています。そして、TRGから発売されているFlashBuilderIII,Flash Proといったソフトを使うと、好きなアプリケーション及び内容が変わらないデータをそこに搭載する事ができます。

 しかし、いざどのソフトを焼くかというと、実はけっこう奥が深い問題なのではないかと最近思うようになってきました。ということで、私のこれまでの歩みをご紹介しましょう。何かのヒントになれば幸いです。

(1)導入時(98年後半)

 この頃のメインマシンはSuperPilot IIXLを入れてRAMが8MになったPalmIII(別名大名Palm)を使っていました。J-OS IIIによってようやく日本語環境が全てROMに焼けるようになった事もあって、800KのROMはJ-OS関係で全て埋めていました。そして、「ハードリセットしても日本語環境!」といって喜んでいました。
 具体的な中身は、J-OS III,大字ゴシック、真辞書、ローカライザー全てでこれで大体800Kが埋まっていました。
確かにハードリセットしても最強の日本語環境が完璧に動くのですが、データは全くないし、アプリケーションも完全に標準状態なので、今考えると自分にとってはあまり意味がある状態ではなかったのかも知れないと思うようになりました。

(2)けちけちメモリー時(99年4月)

 PalmVを入手して、これをメインマシンにしようと思った場合、一番の問題はなんといっても少ないメモリーでした。これまでRAM8M+Flash800Kの合計8.8MからRAM2M+Flash800Kの2.8Mになってしまったわけですから、切実です。
 でも、これを機会に本当に日常的に使っているアプリケーション、データだけに絞り込んでみました.つまり、「いつか使うかもしれないソフト」、「使ったら便利そうなソフト」、「人に見せたいソフト」、「原稿執筆のために必要なソフト」などを全て排除していったのです。
 そして、自らに枠をはめる意味からも「日本語環境及びアプリケーションはFlash ROMに入る分しか入れない」というルールを作りました.その結果、仮名漢字変換辞書を厳選して、日本語環境を550Kくらいに押さえ、残りの部分にTrain,BugMe,Amida、QuickLauncher、各種DAといった必須ソフト類を入れていきました.
 その結果、2MのRAM上には純粋に各種データとゲーム(いつでも消せるように)だけを置いた状態になりました。この状態では、PiloWebでWebのデータを山ほど入れても常に約1MのRAMが空いている状態になり、当初の「どこまでメモリ量を切り詰められるか」という目的は達成できました。

 もっとも、私の場合、開発や互換性チェックの関係から常にサブマシンのWorkPad-Jを持ち歩いている事からできたこととも言えます。

 この場合、Flashの800Kというのは自分に対する制約として使ったわけですが、せっかくのハードリセットをしても消えないとういう特徴をうまく使ったとは言いがたいですね。

(3)PalmV8時代(現在)

 けちけちメモリー作戦でそれなりに快適に使っていたPalmVですが、御大TKさんによって無事8M化手術がなされました。こうなると話しはぜんぜん変わってきます。けちけちメモリー作戦はひとまず終わりにしました。

 ここでよくよく考えてみると、普段使っている限りにおいてソフトはRAMにあってもFlashにあってもあまり違いはないわけです。唯一の違いはハードリセットで消えるか残るかです。(もちろんFlashに焼けないソフトやデータといったものもありますが)

 V8化によって基本的にメモリーが足りないという事はありえなくなりましたから、このFlashの特性を最大限に生かすにはどうしたらいいかと再度考えてみました。

 HP200LXやWinCE機に比べてPalmが最も劣っているのは全データ消失時の自己復旧です。つまり、前者はFlashMemoryにバックアップをとっておけば、いざ全ての情報がなくなっても単体で復旧ができますが、Palmはそうはいきません。私はこれまでずーっと使っていて全データ消失というのは数えるほどしかありませんし、特にPalmOS3.0以降は開発マシンを除いて一回も経験していません。ですから、それほど心配もしていないのですが、できるのならそれに越した事はないというのも確かです。

 そこで、今回はいざ全てのRAMの情報が消失した時に被害を最小限にするという観点からFlashに焼くものを選択してみました。

 いざなにかが起こった時に残っていて欲しいものはなにか?私の場合、それは標準搭載のPIM,特に住所録、メモ、スケジュールの3つです。(ToDoは一日くらいなくても、なんとかなります)
 そしてそれの情報を正常に見る事が必要です。入力についてはなくてもなんとかなります。

 ということで、FlashROMにはPIM情報のバックアップと日本語を見るための最小限の日本語環境を入れる事にしました。

 さて、私のメインマシンのPIMのデータ量を計算すると4つ全てを合わせて500Kバイト程度でした.ToDoはわずかでしたので、ついでに入れてしまいました。残りの300Kにどこまで日本語環境を入れられるかという事で、J-OS III,えりさフォントを入れてもまだ200Kほど残ります。ここに辞書を入れて日本語の入力を可能にする方法とラージフォントを入れて表示を快適にする2つの方法があるのですが、私の場合、入力よりも快適な表示のほうをとってラージフォントを入れました。これにQuickLauncherなどを入れました。PIMの情報は今後も増えていきますから、現段階ではFlashにはそれなりに余裕をもたせてあります。

 Flashに搭載した以外の日本語環境(ローカライザー、辞書)はRAMにいれてあります。そしてPIM情報についてもFlashのものはバックアップですから、本体はRAMの上にあります.考えようによっては500Kを全く無駄に使っているわけで、V8だからこそできることでしょう。

 もうひとつの方法としてはラージフォントの代わりに比較的小さい辞書をFlashに入れておく方法もあります。この場合、日常的には変換効率について不便を感じる事もあるでしょうから、RAMの上には大きな辞書を入れておきます。こうすれば普段は大きな辞書を使い、RAMの情報がなくなると小さい辞書が使われるようになります。これは入力がやはり大事だ、という場合に選択すれば良いでしょう。
 

(4)さてさて、

 ということで、しばらくは(3)の状態で運用してみようと思っています。一番気にしているのはどれくらい頻繁にデータのバックアップを取る事ができるかです。けっこう面倒くさいし、時間がかかりますからね。私はめんどうくさい事はできない・しないというのはそれなりの人生経験で分かっていますので。;)

 今回は3通り+αの使い方を紹介しましたが、考えてみると他にもいろいろとありそうです。特にメモリーが少ないPalmV及びWorkPad c3ではこのFlashの800kを如何にうまく使うかがキーなのかもしれないと思うようになりました.
 どうやらWorkPadc3の日本語版もRAMは2Mのままのようですが、RAM2Mを全てデータと追加アプリケーションに使うのと、RAM2M+Flash800Kに日本語環境、データ、追加アプリケーションを入れる事を考えると後者のほうがはるかに自由度が高いんですよね.
 J-OSは日本語の表示だけだったら100K程度で動きますから、上で言ったような情報のバックアップにも使えるし、多少節約すれば400Kや500Kくらいにはなりますから、残りの400K,300K分は容量が増える事になります。
 また、RAMが全て消えた時にも残る領域としてもいろいろな活用ができるわけです。これは、V8にしてもWorkPadc3日本語版荷はできないことです。

 PalmV/WorkPadc3の英語版を選んだユーザーはいろいろと工夫してみると、より有効な活用方法が見つかるかもしれませんね。