世界で最初のイースター・エッグは、おそらくUNIX のものだろう。これは、コマンド
ラインから「Make Love(ねえ、Hしない?)」と打ち込むと、「Not War(戦争じゃない
の?)」と答えが返ってくるものだった。一番有名なのは、アップルのMac OS についてい
るイースター・エッグだろう。Finder (デスクトップ画面)のApple メニューのリンゴマークをオプション・
キーを押しながらクリックすると、通常「このMacintosh について……」という項目が表示
されるところが、「この Finderについて……」表示される。Mac OS 9 の場合は、クパティーノにあるアップ
ル本社の写真が出てくる。
Windows の場合、Windows 2000 の頃から、イースター・エッグをやらなくなった。どう
やら、政府に納入するようになって、ソフトが仕様書通りでないと公的機関の関係者が嫌
がるかららしい。まだ残っているWindows の有名なイースター・エッグには、標準のスク
リーン・セーバーのものがある。これは、Open GL で3Dテキストを表示させる設定をする
とき、テキストに「Volcano(火山)」と打ち込むと、世界の火山の名前が次々と出てくる
というもの。
イースター・エッグ関連で面白いのは、去年の4月1日、AP通信が伝えたニュース。
これは「Mac OS X に仕込まれているイースター・エッグの隠し画面には、IBMの陰謀を
暴く文章があり、スティーブ・ジョブズの声で読まれる。これを見たFBIが、IBMの
首脳陣を逮捕した」というもの。これはもちろん、エイプリル・フールのジョークなんだ
が、結構、信憑性があって面白かった。
Palm OS の有名なイースター・エッグは、設定画面の右下にマルを書くと、本来の卵の
イースター・エッグの絵が出てくるというもの。この絵が「大盛りご飯」の絵そっくり
だったので、これを見た日本人は、はじめ「なんで、こんなところに大盛りご飯が?」と
悩んでいた。Palm の聖地と言われる秋葉原のイケショップに行って、はじめてこれが本来
のイースター・エッグの絵だとわかった。
他にも有名なものでは、Palm の種類によって、黄色いタクシーや赤いオープンカーが走
るというイースター・エッグがある。これは、Palm Pilot が発売されて、一年ほど、出し方
が誰にもはっきりとはわからなかった。私は、たまたま開発者に会うことがあって、本人
から教えてもらったが、これは何かの操作で偶然に出るというもの。J - OS を使っている
と、タクシーのかわりに相撲取りが出るが、これは私は仕込んだ。みんな、びっくりして
くれる。成熟した大きな会社ではイースター・エッグは禁止されてることが多いが、私の
ような個人の開発者は、好きなことが出来て楽しい。
発売されたばかりのF504i など、富士通の携帯電話には、あるキーワードを入れると、ス
ペシャル・モードになるイースター・エッグ的なものがある。機種によって、電池の残量
表示が漢字アイコンになったり、火星人やクジラや星になったりする。こういったことを
はじめるきっかけとなったのは、F501 の待ち受け画面に隠しキャラを入れたこと。お客様
から「ヘンなのが出てる」と問い合わせがあり、面白がっていただけたので、「こういう
のをエンターティンメント要素として入れていこう」となった。これら隠し機能の出し方
は、実は取り扱い説明書の隅の方に書いてある。また、インターネットでは、NTTドコ
モのサイトや富士通のサイトでも告知をしている。
こういった機能の中ですごいのは、自分の声を着メロ代わりに入れられる「着声」機能
でのイースター・エッグ。「声に敏感」とメモリ・ダイアルに入れると、女性の声で「元
気だしてねっ!」と言ってくれるようになる。これが、自分で聞いてて「さびしー」と思
うことも。F211i では、なぜか「しんちゃん」と入れると、綺麗なクリスマスの音楽が鳴る
ようになる。
イースター・エッグには、文化的な趣があり、作り手側の思いが込められている感じが
する。実は、イースター・エッグが大好きな人たちは世界中にいるようで、専門の情報サ
イトみたいなものがある。ここも、そのひとつ。
ソニーのVAIO にも、イースター・エッグはある。VAIO は7月1日に生まれたので、そ
の誕生日になると、壁紙を変える機能が勝手に動き出し、特別な壁紙に変わるという。こ
れを確かめるには、日付を7月1日に合わせて、再起動してみるといい。もちろん、あと
で日付は戻すこと。
VAIO 開発チームには、AV事業部系の人たちがたくさん入っている。彼らの考え方
は、真面目にパソコンを作ってきた人たちとは、ずいぶんちがう。たとえば、初代のVAIO
505 は薄型だが、ハード・ディスクが1GB しかなく、プリインストール・ソフトだけで
いっぱいになるので、あまり評判は良くなかった。あとで開発部の人に、このディスクを
選んだ理由を聞いたら、「そのとき、一番薄いハードディスクが、その容量だったから。
1ミリでも薄く作れるんなら、そっちを選んだ方が良い」とのことだった。開発部では悩
んだそうだが、「役に立つ、立たない」は、ソニーの場合、あまり関係がないようだ。役
に立つモノよりも、面白いモノ。パソコンでも同じらしい。